近年、飲食業界では新たな集客手段として「MEO対策」が注目を集めています。
これまで飲食店の集客といえば、グルメサイトや口コミポータルサイト、SNSの活用が主流でした。
実際、飲食業に特化した調査機関「飲食店リサーチ」の統計によると、現在「SNSを活用して集客している」と回答した店舗は80%を超えています。
しかし、こうした状況にも変化の兆しが見え始めています。
同調査における「SNS以外で集客に利用しているツール」という質問では、「Google ビジネスプロフィール」がグルメ口コミサイトを抑えて1位となりました。
この「Google ビジネスプロフィール」は、MEO対策と深く関わっているツールです。
本記事では、MEOとは何か、その役割から、実際の登録方法・活用方法までを、わかりやすくご紹介します。
MEO対策に欠かせない「Google ビジネス プロフィール」とは
MEO対策を行ううえで、まず理解しておきたいのが「Google ビジネス プロフィール」です。
なぜなら、このサービスへの登録こそが、MEO対策の第一歩となるからです。
「Google ビジネス プロフィール」とは、飲食店をはじめとする店舗情報をGoogle上に掲載できる無料のツールで、検索結果やGoogleマップに店舗情報が表示されやすくなります。
以前は「Googleマイビジネス」という名称でしたが、2022年より現在の名前に変更されています。
なお、このプロフィールは、店舗側が登録していない場合でも、Googleやユーザーによって自動的に作成されてしまうことがあります。その際、誤った情報が掲載されることもあり、放置しておくとユーザーを混乱させる原因にもなりかねません。
どうせ表示されるのであれば、正確な情報を自ら発信する方が、信頼性の向上にもつながります。
その意味でも、Google ビジネス プロフィールへの登録は、非常に重要だと言えるでしょう。
なお、具体的な登録手順については、後ほど画像付きでわかりやすく解説いたしますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店におけるMEOの重要性とは
冒頭でご紹介したように、現在多くの飲食店が、SNS以外の新たな集客手段として「Google ビジネス プロフィール」を活用し始めています。
では、なぜ今、これほどまでにGoogle ビジネス プロフィールが注目されているのでしょうか?
その大きな理由の一つは、飲食店を探すユーザーの情報検索行動が変化している点にあります。
これまでは、食べログやぐるなびといったグルメ情報サイトが主流でしたが、最近ではGoogle検索をメインに使う人が増えているのです。
また、MEO対策によって実際に売上が向上しているというデータもあります。
たとえば、店舗流通ネット株式会社の調査によれば、Googleマップ検索における上位40位以内に入っている飲食店と、それ以外の飲食店とでは、平均売上に約40%もの差があることが分かっています。
さらに、年を追うごとにこの売上差は広がっており、検索結果で上位表示されることの重要性がより一層増している状況です。
加えて、MEO対策は集客コストを抑えるというメリットもあります。
グルメサイトを利用する場合、情報掲載や送客には一定の費用が発生しますが、MEO対策は無料で活用できるツールも多く、費用対効果に優れている点が魅力です。
このように、「低コストで始められ、売上アップも期待できる」という理由から、今まさに飲食店の間でMEO対策が注目を集めているのです。
飲食店向け!MEOの始め方
ここからは、実際の画面を見ながら「Google ビジネス プロフィール」の登録手順についてご案内します。
登録方法は、以下のどちらの状況に当てはまるかによって異なります:
Google ビジネス プロフィールがすでに存在している場合
Google ビジネス プロフィールがまだ登録されていない場合
前述の通り、Google ビジネス プロフィールは、店舗側が登録していなくても、ユーザーの書き込みなどをもとにGoogle側で自動的に作成されていることがあります。
そのため、自分で登録した記憶がなくても、すでにプロフィールが存在しているケースは珍しくありません。まずは確認することが大切です。
▶︎ 自分の店舗が登録されているか確認する方法
店舗のGoogle ビジネス プロフィールが既に存在しているかどうかは、以下の方法で簡単に確認できます:
Google検索で店舗名を検索する
Googleマップで店舗名を検索する
いずれかの方法で検索し、もし店舗情報が表示された場合は、「このビジネスのオーナーですか?」というリンクが画面に現れます。
こちらをクリックし、「オーナー確認」の手続きを行いましょう。
この「オーナー確認」とは、そのGoogle ビジネス プロフィールの管理者が正当な店舗関係者であるかをGoogleが確認するための認証プロセスです。
認証が完了すれば、店舗情報の編集・投稿など、管理者としての操作が可能になります。
もし検索しても店舗情報が表示されない場合(=Google ビジネス プロフィールが存在しない場合)は、次の項目でご紹介する「新規登録の手順」を参考にしてください↓
初めてGoogle ビジネス プロフィールを登録する場合
店舗のGoogle ビジネス プロフィールが未登録の場合は、自ら新規登録を行う必要があります。以下に、登録の手順をわかりやすく解説します。
1. 登録画面にアクセスして登録を開始
まず、Google ビジネス プロフィールの登録画面にアクセスします。表示される「今すぐ管理」ボタンをクリックして登録をスタートします。
※補足:
Google ビジネス プロフィールのヘルプページ経由でも登録画面に進むことができますが、通常画面とは異なる構成になっているため、初めての方はやや戸惑うかもしれません。
「開始」をクリックすると、まず既存の情報が登録されていないかどうかを確認する画面が表示されます。店舗名を入力して、すでに登録されていないことを確認した上で、「Google にビジネス情報を追加」をクリックし、登録作業を進めましょう。
2. 「ビジネス名」「ビジネスカテゴリ」を入力
次に、ビジネス名(店舗名)とビジネスカテゴリを入力します。
ビジネス名:実際の店舗名を入力します。
※SEOを意識して余計なキーワードや地名を追加するのは、Googleのガイドライン違反となるため避けましょう。ビジネスカテゴリ:例として「イタリアン」「中華料理店」などがあります。入力すると候補が表示されるので、自店舗に最も近いカテゴリを選択してください。
うまく見つからない場合は、他の店舗がどのカテゴリを使っているかをGoogleで確認してみるのも一つの方法です。
3. Googleマップに表示させるか選択
「店舗やオフィスなど、ユーザーが実際に訪れる場所を追加しますか?」という質問が表示されます。
これは、Googleマップ上に店舗情報を表示させるかどうかの確認です。来店型のビジネスであれば「はい」を選択して進みましょう。
4. 住所・連絡先などを入力
以降は画面の案内に従って、以下の項目を入力していきます。
住所の入力:入力後、近隣に同名のビジネスがないか確認されます。該当がなければそのまま進んでOKです。
デリバリーの有無:出張や配達対応の有無について回答します。
連絡先の登録:電話番号とホームページURLを入力します。
電話番号は店舗の公式なものを入力し、国番号(日本は「+81」)の設定も忘れずに行ってください。
ホームページがない場合は「ウェブサイトを持っていない」にチェックを入れましょう。最新情報の受け取り可否:Googleからの最新情報を受け取るかどうかを選択します。
ここまで完了すれば、ひとまず基本登録は完了です。
5. オーナー確認を行う
ビジネス情報を一般公開するためには、「オーナー確認」が必要です。
確認方法は以下の4つから選べます:
電話
テキストメッセージ
メール
動画
選択した方法に応じて、Googleから認証コードが届きます。そのコードを入力すれば、オーナー確認は完了です。
これで、ビジネスプロフィールの登録は完了です!
(※この後、営業時間や店舗写真などを追加する画面が表示されます。登録は後回しにすることも可能なので、時間のあるときに情報を充実させていきましょう。)
MEO対策を始めるときに押さえたい3つのコツ
Google ビジネス プロフィールを登録しただけでは、検索結果で上位表示されるわけではありません。
上位表示を目指すためには、いくつかの工夫が必要です。ここでは、MEO対策で特に重要となる3つのコツをご紹介します。
① Google ビジネス プロフィールを正確かつ分かりやすく整備する
MEO対策の基本は、Google ビジネス プロフィールを充実させることです。
Googleの公式ヘルプにも「ローカル検索結果のランキングを改善する方法」として、以下のようなポイントが挙げられています:
詳細な店舗情報の入力
オーナー確認の実施
営業時間の正確な掲載
クチコミへの対応と返信
店舗写真の追加
商品情報の掲載
また、検索順位は以下の3つの要素によって左右されるとされています:
ランキング要素 | 内容 |
---|---|
関連性 | ユーザーの検索キーワードと店舗情報の一致度 |
距離 | 検索されたエリアと店舗所在地の近さ |
視認性の高さ | オンライン・オフラインでの知名度やブランド力 |
さらに、MEO対策で特に重要なのが「NAP情報の統一」です。
NAPとは、**Name(店舗名)・Address(住所)・Phone number(電話番号)**の略で、これらの情報をSNSやホームページ、その他媒体と統一させることが重要です。
たとえば、Googleに登録されている住所とInstagramに記載の住所が異なっていれば、ユーザーは混乱し、Googleからも「信頼性の低い情報」と評価される可能性があります。
まずは、基本情報の整備とNAPの統一から取り組むことをおすすめします。
② 定期的にチェック&更新を行う
Google ビジネス プロフィールは「登録して終わり」ではありません。定期的な運用・メンテナンスが求められます。
たとえば、以下のような作業が効果的です:
最新の写真の追加
営業時間やサービス内容の更新
クチコミへの返信や対応状況の確認
特にクチコミは、いつネガティブなものが投稿されるか予測できません。すぐに気づき、適切に対応できるよう、定期的なチェック体制を整えておきましょう。
③ 良い口コミが自然と集まるお店づくりを意識する
口コミは、ユーザーが店舗を選ぶ際に非常に大きな影響を与えます。
特にGoogleマップ上では、星の数やコメント内容が一目で確認できるため、信頼性に直結します。
そのためにも、お客様が思わず良い口コミを書きたくなるような体験を提供することが重要です。
接客の質を高める
店内の清潔感を保つ
味や価格以上に「印象に残る何か」を提供する
こうした日々の積み重ねが、自然と高評価のクチコミを生み、MEO効果を高める大きな要素となります。
補足|MEOに取り組む際に気をつけたいポイント
MEO対策を行う際には、Googleが定めたルールやガイドラインに従って運用することが非常に重要です。
違反行為があると、アカウント停止や検索順位の低下などのペナルティを受ける可能性があります。
ここでは、特に注意しておきたい2つのポイントをご紹介します。
① 店舗情報が勝手に変更されることがある
頻繁ではありませんが、自分で登録したGoogle ビジネス プロフィールの情報が、意図せず変更されてしまうケースがあります。
主な原因は以下の2つです。
Googleによる自動修正
Googleは、ユーザーに正確な情報を提供するため、インターネット上の様々な情報(公式サイトやSNS、口コミなど)と照らし合わせて、情報の正確性を常にチェックしています。
その結果、プロフィールの情報と他の情報に相違があると、Googleが独自の判断で情報を自動的に書き換えることがあります。一般ユーザーによる情報の修正提案
Google ビジネス プロフィールの情報は、一般ユーザーが「情報の修正を提案」できる仕組みになっています。
たとえば、Googleマップで店舗ページを開き、電話番号の下に表示される「情報の修正を提案」をクリックすると、営業時間や住所などを編集・提案することが可能です。
こうした情報の変更はGoogleの審査を経て承認されますが、意図しない誤情報が反映されてしまう場合もあります。
そのため、自店のプロフィールが勝手に書き換えられていないか、定期的にチェックする習慣を持ちましょう。
もし誤った情報が掲載されていた場合は、Googleに報告を行えば修正対応してもらうことができます。
② 口コミに関する禁止行為に注意
Googleでは、ユーザーに口コミを依頼すること自体は認められていますが、金品などの特典を提供する見返りとしての口コミ依頼は禁止されています。
✅ OKな例:
「よろしければ、感想をGoogleに投稿していただけると嬉しいです」
❌ NGな例:
「口コミを書いていただければ1ドリンク無料になります」
また、店舗スタッフや関係者による自作自演の口コミ投稿も明確に禁止されています。
これらの行為は、Googleのガイドラインに違反していると判断され、アカウント停止などの重いペナルティを受ける可能性があります。
ガイドラインをしっかり確認し、クリーンな運用を心がけることが、長期的な信頼と集客につながります。
まとめ|MEO対策は無料で始められる効果的な集客手段。まずはできるところから
最後に、この記事でお伝えしたMEO対策の重要ポイントを振り返りましょう。
▼ 飲食店におけるMEO対策の要点
Googleマップでの上位表示を目指すMEOの重要性は年々高まっている
多くのユーザーがグルメサイトよりもGoogleマップを活用して店舗を検索している
実際にMEO対策によって売上が向上した事例も多数
MEOは無料で始められるため、集客コストを抑えつつ成果が見込める施策
効果を出すには、Google ビジネス プロフィールの登録と定期的な情報更新が欠かせない
口コミは集客に大きく影響し、ネガティブなものでも誠実な対応をすることで信頼アップにつながる
最終的に大切なのは、顧客満足度を高めること。その積み重ねが自然な高評価口コミに繋がっていく
MEO対策は、今の時代のニーズに合った非常に効果的な集客方法です。
しかも無料でスタートできるため、今後ますます多くの飲食店が取り入れていくと予想されます。
「まずはできる範囲から」始めてみることが、他店との差別化にもつながります。
今こそ、MEO対策に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?