自社のGoogleビジネスプロフィールを検索結果で上位に表示させ、店舗への集客を増やすためには、MEO対策が欠かせません。なかでも「NAP情報の正確な管理」と「サイテーションの強化」は、ローカル検索における評価を高めるうえで非常に重要なポイントです。
では、NAP情報とは具体的に何を指し、なぜその管理が重要なのでしょうか?ここでは、NAP情報の基本と、それを適切に管理するための実践的な方法について詳しく解説します。
NAP情報とは?
NAPとは、以下の3つの要素の頭文字をとったもので、ビジネス情報の基本となる項目です。
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N:Name(ビジネス名・会社名・屋号)
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A:Address(所在地・住所)
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P:Phone(電話番号)
これらは、ローカルSEOだけでなく一般的なSEOにも影響を与える重要な情報です。
検索エンジンは、インターネット上に散在するさまざまな情報を通じて、特定のビジネスを識別・評価しています。通常はリンクを通じてページ間の関係性を判断しますが、NAP情報はリンクが存在しない場合でもビジネスの一貫性を判断する手がかりになります。
たとえば、SNSの投稿(X〈旧Twitter〉やFacebook)、業種別のポータルサイト(食べログ、ぐるなび、ホットペッパーなど)、さらにはブログ記事やニュースなどに自社の情報が掲載されている場合でも、NAP情報が一致していれば、検索エンジンはそれらを同一のビジネス情報として認識できます。
このようにして認識された情報は「サイテーション」として評価対象となり、ローカル検索順位に良い影響を与えます。
※サイテーションとは?
サイテーション(Citation)とは、インターネット上で自社の名称、ブランド名、住所、電話番号などの固有情報が言及されていることを指します。リンクが貼られていない場合でも、言及されているだけで効果があるのが特徴です。
NAP情報の「統一」が重要な理由とは?
MEO対策において、NAP情報は「関連性」「知名度(視認性)」「クチコミ評価」といった、検索結果で上位表示されるための主要な評価項目に深く関わっています。
このNAP情報を統一して管理することは、これらの評価を検索エンジンに正確に伝えるために欠かせない対策のひとつです。
なぜNAP情報を「統一」する必要があるのか?
たとえば、あなたの店舗の正式名称が「焼き豚 よきちゃん」だとします。
しかし、SNSやグルメサイトでは「焼き豚 よきちゃん」と表記されていた場合、そこでどれだけ好意的なレビューが投稿されていたとしても、検索エンジンはそれが自店舗に対する言及だと判断できない可能性があります。
その結果、本来であれば評価対象となるポジティブな情報が検索エンジンに認識されず、評価の機会を失ってしまうのです。
こうした「認識されないレビュー」が積み重なると、大きな損失となります。
一方で、投稿に住所や電話番号などが含まれており、それが正しく統一されていれば、検索エンジンはそれを自店舗の情報として認識しやすくなります。
このように、NAP情報を統一することで、インターネット上の言及を自社のものとして正確に紐付けられるようになり、結果的に検索評価の向上に繋がります。
統一すべきNAP情報のポイント(具体例)
以下に、NAP情報の統一における注意点を具体例とともにご紹介します。
ここでは、みなさんご存知のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの情報をもとに見ていきましょう。
■ 正式なNAP情報(例)
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会社名: 合同会社ユー・エス・ジェイ
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住所: 大阪府大阪市此花区桜島2丁目1−33
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電話番号: 0570-20-0606
■ よくある表記ゆれと注意点
【会社名の例】
- 合同会社ユーエスジェイ(←中黒なし)
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USJ(略記の使用)
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ユ-エスジェイ(半角カナ使用)
→ これらはすべて、Googleが別会社と認識するリスクがあります。
【住所の例】
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大阪府大阪市此花区桜島2-1-33(ハイフン・半角数字)
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大阪府大阪市此花区桜島2丁目1番地33号(漢字表記)
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大阪府大阪市此花区桜島2-1-33 ユニバーサルスタジオジャパン本館2階(「F」と「階」)※正式な住所とは違う表記をしております。
→ 丁目・番地はある程度Google側で正規化されますが、「ビル名・階数」などは表記ゆれによる誤認識の可能性があります。
【電話番号の例】
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03-6441-2455(全角)
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0364412455(ハイフンなし)
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03(6441)2455(カッコ付き)
→ 一見同じ情報でも、検索エンジンは異なる番号として処理する可能性があります。
統一のコツ
Googleビジネスプロフィールや公式サイトはもちろん、以下のような他媒体にも可能な限り正規のNAP情報を統一して記載しましょう:
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グルメ・ポータルサイト(例:食べログ・ぐるなび・ホットペッパー)
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SNSプロフィール
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業種別の口コミサイト
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地域情報メディア
(※先程ユーエスジェイを例に挙げましたが、グルメサイトやポータルサイトに記載できる、飲食店や美容院の例をイメージしてもらえればと思います。)
こうした取り組みによって、「自社の情報として検索エンジンが正確に認識できる環境」を整えることができ、せっかくの高評価レビューや言及が確実に評価へと反映されるようになります。
NAP情報を統一した上で、さらに必要な対策とは?
NAP情報の統一は、ウェブ上に点在する情報を自社のものとして検索エンジンに認識させるための基本対策です。しかし、それだけで検索順位が大きく向上するという単純なものではありません。
NAPはあくまで「店舗の識別情報」にすぎず、評価を高めるには、それ以上の内容――つまり、その店舗がどんなサービスを提供しているか・どんな魅力があるかといった「中身」が重要です。
NAP統一後に意識すべきポイント
NAP情報の統一に加えて、以下のような情報が各媒体でしっかり言及されているかを確認しましょう。
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店舗に関するポジティブな内容(例:口コミや紹介記事)があるか
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最新の情報が掲載され、更新が継続されているか
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検索キーワードとの関連性が高い内容が含まれているか
ユーザーが求めているのは、「どこにあるか」だけでなく「どんなお店か」です。NAP情報をベースに、こうしたプラス評価につながる情報がしっかり発信されていることが、検索エンジンの評価にもつながります。
NAP情報の「一致率」はどれくらい必要?
すべての媒体でNAP情報を100%完全に一致させる必要はありません。ただし、できる限り統一することで、Googleのクローラーが同一の店舗情報として認識しやすくなります。
ビジネス名・住所・電話番号の3要素だけでなく、カテゴリや地域の文脈、関連キーワードなど複数の要素が合致することで、同一情報と判断される精度が高まります。
「NAP統一」だけでは不十分。サイテーション対策も並行して行う
MEO対策では、NAPを統一するだけでなく、「言及される情報の量」を増やす取り組みも欠かせません。
飲食ポータルサイトや口コミサイト、ブログ、SNSなど、多様な場所で自社が取り上げられていること(サイテーション)が、検索上位表示への後押しになります。
つまり、NAPの統一=評価の土台づくり、サイテーション=評価の積み上げというイメージです。
営業時間の情報も統一しよう
MEO対策において見落とされがちなのが「営業時間の統一」です。
媒体ごとに営業時間が異なっていると、ユーザーはどの情報が正しいのか判断できず、来店や予約などの行動にブレーキがかかる恐れがあります。Googleビジネスプロフィールや公式サイトをはじめ、各ポータルサイト・SNSでも統一された営業時間を記載するよう徹底しましょう。
構造化データでNAP情報を正確に伝える
自社サイトにNAP情報を掲載していても、検索エンジンがそれを確実に「ビジネス情報」と認識してくれるとは限りません。とくにページ数の多いサイトでは、表記ゆれをすべて統一するのも大変です。
そこで有効なのが、構造化データの活用です。
構造化データを使えば、ビジネス名・住所・電話番号・営業時間などの情報を検索エンジンに明示的に伝えることができ、認識精度が大きく向上します。
まとめ
NAP情報の統一は、MEO対策において欠かせない基本施策のひとつです。
検索結果で上位に表示されるためには、さまざまな対策が必要ですが、まずはNAPを正確に統一することで、リンクのない情報も検索エンジンにしっかりと認識・評価してもらえる土台を築くことができます。
見落とされがちな細部まで丁寧に整えることが、ローカル検索での優位性につながります。