はじめに
検索順位はキーワードによって日々変動し、安定しているものもあれば頻繁に上下するものもあります。数ランク程度の変動であれば、自然な範囲内であるため、過度に気にする必要はありません。しかし、大幅な順位の下落や、少しずつ順位が下がり続けるような傾向が見られる場合には、放置せずに適切な対策を講じる必要があります。
本記事では、検索順位の下落が発生する要因の見極め方と、Googleの検索エンジンの変動状況をモニタリングする方法について解説します。
順位変動の要因、検索結果下落の要因とは?
検索順位の下落にはさまざまな要因があり、的確に原因を特定して適切な対処を行わなければ、順位がさらに低下してしまうリスクもあります。
「急に順位が下がった!」と焦って、原因を見極めないまま修正を加えてしまうと、かえって逆効果になる可能性があるため注意が必要です。
本章では、よく見られる順位下落の主な要因と、それらへの対処法について解説します。
なお、検索順位の下落は一つの原因によって起きるとは限らず、複数の要素が重なって発生していることも少なくありません。各要因は“仮説”として柔軟に捉え、総合的に検討・対応することが重要です。
一時的な変動・時間帯による影響
Googleは日常的に検索アルゴリズムの更新を行っており、その頻度は非常に高いものです。
Mozの調査によれば、2009年時点で年間約350~400回だったアルゴリズム調整は、2018年には3,200回を超えており、10年間でおよそ9倍に増加しています。
このような日々の微細な変化により、検索順位は常に一定ではなく、検索するたびに多少の変動があると考えるべきです。さらに、地域・時間帯・検索環境などの影響により、同じキーワードでも結果が異なる場合があります。
そのため、数ランク程度の上下動は通常の範囲内であり、過剰に反応する必要はありません。日々の順位を安定して確認したい場合は、SEOツールを活用し、同一条件での定点観測を行うことをおすすめします。
Googleのアルゴリズムアップデートの影響
Googleは常にユーザーにとって最適な検索結果を提供するため、検索アルゴリズムを改善し続けています。
なかでも「コアアルゴリズムアップデート」と呼ばれる大規模な更新が年に数回実施され、これが検索順位に大きな影響を及ぼすことがあります。
アップデートの内容や実施時期は、Google検索セントラルで公式にアナウンスされることもあります。
急激な順位変動が見られた場合は、まずこのようなアップデートの影響がないか確認し、必要に応じて対応策を検討してください。
他サイトの評価上昇による相対的な順位下落
自サイトに問題がなくても、競合サイトの評価が上がったことで結果的に順位が下がることがあります。
特に、検索ニーズの高いキーワードにおいては、日々新しいコンテンツが投入され、競争が激化しています。
定期的に検索結果画面(SERPs)をチェックし、他社のコンテンツの動向を把握することで、自社の改善ポイントを見つけやすくなります。
コンテンツ評価基準の変化
Googleのアルゴリズムは、検索意図に応じた最適なコンテンツを評価するために常に進化しています。
その結果、以前は高評価だったページが、現在の評価基準には合わなくなり、徐々に順位が下がることがあります。
このような場合は、情報の鮮度や内容の的確さ、検索意図への対応度などを見直し、必要に応じてリライトなどのアップデートを行うことが効果的です。
類似コンテンツによる検索対象ページの入れ替わり
同一ドメイン内に似た内容のページが複数存在すると、検索エンジンがどのページを優先して表示するかを再評価するため、検索対象ページが入れ替わることがあります。
これは、検索エンジンがその時点で「より適切」と判断したページを優先的に表示しているためです。
この現象を防ぐには、ページごとに明確なテーマや差別化を行い、類似コンテンツの重複を避けることが重要です。
また、PLP(Preferred Landing Page)機能を用いることで、意図したページが検索結果に表示されているかをモニタリングできます。
ペナルティ(スパム判定)を受けている可能性
Googleの品質ガイドラインに違反する行為が検出されると、手動によるペナルティが課され、検索順位が著しく下がる、あるいはインデックスから削除されることもあります。
代表的な違反行為には以下のようなものがあります:
隠しリンクや隠しテキスト
クローキング(ユーザーとクローラーに異なる内容を表示)
不自然なリンクの購入
相互リンクの過剰な構築(リンクファーム)
ドアウェイページ(誘導目的の低品質ページ)
ペナルティの有無は、Google Search Console内「手動による対策」タブから確認できます。違反が表示された場合は、内容を正確に把握し、修正のうえ再審査リクエストを提出してください。
head要素内の記述ミスや設定変更
HTMLの<head>
タグ内には、SEOに重要なタグ(title、meta description、robots、canonicalなど)が多く含まれています。
これらを誤って削除・変更すると、順位に大きな影響が出ることがあります。
特に注意すべき例:
誤って
noindex
が設定されているcanonical
タグのURLが別ページを指しているリダイレクト設定が不適切
title
タグが他ページと同一または不適切に変更されている
ページを更新した直後に急激な順位低下が見られる場合、まずはhead要素の記述ミスがないかを確認することが第一です。
検索順位が下落したときの適切な対応方法
検索順位の下落が確認された場合、まずは落ち着いて冷静に対応することが重要です。
正確な要因を特定するのは難しいですが、まずは、大きく分けて2つ「外的要因(Googleのアルゴリズム変更)」か「内的要因(自社コンテンツの評価低下)」存在することを認識しておきましょう。(※後ほど説明で出てきます。)
ここでは、実践するべき順位下落時の対応方法をご紹介します。
1. 一定期間、様子を見る
検索順位は常に変動しており、数日~数週間単位での上下は珍しくありません。
Gyro-nでは、順位が下がった場合もすぐに対策を行わず、まず1週間〜10日程度は推移を観察します。
例えば、長期間上位に表示されていたページで一時的に順位が下がったケースでも、約2週間で自然に回復した例があります。このような一時的な変動に対して、早急に修正を加えると、かえって評価に悪影響を与える可能性もあるため注意が必要です。
2. 外的要因か内的要因かを見極める
短期間の観察後、順位の下落が継続しているようであれば、その原因が**検索エンジン側の要因(外的要因)か、コンテンツ自体の評価低下(内的要因)かを判断します。
他サイトも同様に順位が下がっている場合:Googleのアルゴリズムアップデートなどが原因と考えられます。このような場合、検索エンジンが評価基準を見直している可能性があり、2〜3週間程度で変動が落ち着くことが多いため、引き続き観察しましょう。
競合サイトは影響を受けておらず、自社だけが下がっている場合:コンテンツの質や構成など、内的な要因が影響している可能性が高く、具体的な対応が必要です。
3. 原因分析と改善対策の実施
アルゴリズム変動の影響が落ち着いてもなお、自社サイトの順位が回復しない場合には、以下のようなプロセスで改善を行います。
競合サイトと検索結果を比較(SERPs分析)
自社コンテンツとの違いを分析し、評価が落ちた可能性のある要素を洗い出す
仮説を立てて部分的にリライトや情報のアップデートを実施
変更後の順位変動を観察・検証
※一度に多くの修正を加えると、どの施策が効果をもたらしたのか判断が難しくなるため、変更は段階的に行うことがポイントです。
4. 順位変動幅をモニタリングする
検索順位の変動が起きたときは、「順位変動幅」の確認も重要です。
▸ 順位変動幅とは?
あるキーワードにおける検索順位の前日比での全体的な変動量を示す指標です。これを確認することで、業界全体で大きな順位変動が起きているか、自社だけの問題かを判断できます。
特に、以下のようなYMYL領域(Your Money or Your Life)では、Googleが専門性・信頼性(E-E-A-T)を重視するため、変動幅が大きくなりやすい傾向があります。
医療・クリニック
金融・保険
法律関連
健康・美容系EC など
このようなカテゴリに属するキーワードは、外的なアルゴリズム更新の影響も受けやすいため、より慎重な観察が必要です。
まとめ
検索順位の変動は日常的に起こるものであり、その背景にある要因を正しく見極める力は、SEO対策を進めるうえで欠かせません。
検索評価の変化や兆候にいち早く気づき、適切なタイミングでリライトや情報の更新を行うことで、順位の回復だけでなく、以前よりも高い評価を得られる可能性も十分にあります。
本記事で紹介した要因は、比較的頻繁に見られる代表的なケースに過ぎません。検索エンジンの動向は常に変化しており、それに応じて対策も柔軟に対応する必要があります。
日頃から検索順位を継続的にモニタリングし、下落の兆しを見逃さず、検索ユーザーにとって価値のある情報を提供し続けること。それが、長期的に安定した検索評価を維持し、ウェブサイトの信頼性と品質を高めるための鍵となります。