canonicalタグについて〜SEOの基本施策
SEO対策において基本施策の一つがインデックス最適化です。
中でも、canonical(カノニカル)タグを活用した「URLの正規化」は欠かせない重要な取り組みです。
どれほど優れたコンテンツであっても、URLの正規化が行われずに似た内容のページが複数のURLで存在すると、検索エンジンの評価が分散してしまいます。場合によっては重複コンテンツと判断され、マイナス評価を受けるリスクもあります。
正しくインデックスされないままでは、せっかく時間をかけて作成したコンテンツもSEO上の評価を十分に受けられず、検索順位が上がらないという残念な結果になりかねません。
canonicalタグは、検索エンジンが最も嫌う重複コンテンツ問題を解消するための重要な手段です。
ここでは、canonicalタグの仕組み・記述方法・注意点について解説します。
なぜURL正規化が必要なのか?①
canonicalタグによるURL正規化を行うべき理由は以下の通りです。
重複コンテンツ・類似ページの悪影響を防ぐため
実際の運用では、全く同じ内容を持ちながら異なるURLが生成されるケースが数多く存在します。たとえば:
PC用ページとスマホ用ページでURLが異なる場合
同一商品のカラーバリエーション別の商品ページ
AMPページを導入している場合
検索エンジンはURL単位でページを認識します。そのため、同じ内容でもURLが異なれば別ページ(重複コンテンツ)として扱われるのです。
重複コンテンツと判断されると、クロール頻度が低下し、ページ全体の評価も分散・低下してしまいます。
■SEO管理サービスのページのURLを例にすると・・・
下記のような異なるURLでも同じページを表示できるようになっています。
http://www.example.com/seo/ (httpのスキーム sが入っていない)
https://example.com/seo/ (wwwなし)
https://www.example.com/seo/index.html (index.htmlあり)
https://www.example.com/seo/?ref=ad (識別用パラメータあり)
↑運営側の感覚では、これらはすべて同じページを指しているケースが多いですが、検索エンジンはこれらを異なるURL=別ページとして区別し、すべてをインデックスしようとします。その結果、どのURLを評価対象にすべきか判断できなくなってしまうリスクが生じます。
さらに、こうした状況が続くと、重複コンテンツやミラーコンテンツと判定され、SEO上マイナス評価を受ける可能性もあります。
なぜURL正規化が必要なのか?②
外部リンクの評価に悪影響を与えないようにするため
SEOでは、外部サイトから被リンク(外部リンク)を獲得することが重要な評価要因となります。
しかし、同じコンテンツであっても異なるURLが存在していると、外部サイトから貼られたリンク先が分散し、被リンク評価が各URLにバラけてしまうことになります。
これにより、本来一箇所に集まるはずだったリンク評価が統一されず、SEO上の評価が十分に蓄積されなくなるという悪影響を招きます。
canonical(カノニカル)タグの使い方
canonicalタグとは、同一サイト内に存在する重複・類似コンテンツに対して、どのURLを検索エンジンに評価対象として認識してもらいたいかを指定するためのタグです。
Googleはもちろん、Bingなど他の主要検索エンジンでも採用されています。
記述方法(例):
canonicalタグの使う際の注意ポイント
<link rel="canonical">
タグは非常に重要なSEO施策ですが、誤った使い方をすると検索順位に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
以下の6つの注意点を必ず押さえておきましょう。
① URLの記述ミスに注意する
canonicalタグに誤ったURLを記述してしまうと、その間違ったURLが正規ページとしてインデックスされてしまい、検索結果から消えてしまうリスクもあります。
特に、誤ってエラーページ(404ページなど)を指定してしまうと、そのコンテンツ全体がインデックスされなくなるばかりか、サイト全体の評価にまで悪影響を及ぼす可能性もあります。
URLの記述ミスは非常に重大なミスとなるため、細心の注意を払い確認しましょう。
なお、WordPressを利用している場合は、以下のプラグインを活用することでcanonicalの管理が容易になります。
All in One SEO(AIO SEO)
Yoast SEO
SEOPress
② URLは絶対パスで記述する
canonicalタグのURLは必ず絶対パス(フルパス)で記述しましょう。
相対パスでも technically は利用可能ですが、プロトコル(http/https)の区別やドメイン判定などで正規化処理が不安定になる可能性があります。
正確なURL正規化のためには絶対パスの使用が基本です。
③ body内に記述しない
<link rel="canonical">
タグは必ず<head>
タグ内に記述します。<body>
タグ内に記載しても検索エンジンは正しく処理しませんので注意が必要です。
④ canonical指定は万能ではない
canonicalタグは自己参照(自ページを自ら正規化)する場合は通常通り機能しますが、他のページを正規化先に指定する場合は注意が必要です。
検索エンジンが必ずしも指定通りに処理するとは限りません。
Googleは他ドメインへのcanonicalも技術的には認識しますが、必ず従うわけではありません。
canonicalはあくまで「推奨」を伝えるものであり、検索エンジン側が最終判断を行うこともあると理解して活用することが重要です。
⑤ canonicalは1ページに1つだけ
1ページ内に複数のcanonicalタグを設置すると、正規化処理が正常に機能しなくなります。
必ず1ページにつき1つだけ記述することが原則です。
⑥ ページネーション時の扱いに注意
ページ分割(ページネーション)を行っている場合も、基本的には各ページごとにcanonicalを設定します。
ただし、すべてのページを1ページ目に正規化してしまうのは避けましょう。
かつては「rel="prev"
」「rel="next"
」タグによるページ繋がりの指定がGoogleで推奨されていましたが、現在Googleはこれをサポートしていません(Bingなど一部検索エンジンは対応を継続中)。
代替策として、全ページをまとめた統合版(ALLページ)を用意し、そのページにcanonicalを向ける方法も有効です。
※「記述ミス」「複数指定」「相対パス」「body内記述」など、よくある失敗に特に注意しましょう。
canonicalを使わない「.htaccess」を活用したURL正規化
<link rel="canonical">
タグを使えば、検索エンジン上でインデックスされるURLの統一は可能ですが、以下のようなURLの表記ゆれは、ユーザー側の表示や被リンクの統一という観点からも、サーバー側でのリダイレクトによる正規化を行うことが望ましいです。
index.html の有無
www の有無
URL末尾のスラッシュの有無
このような場合は、301リダイレクト(恒久的な転送)を利用してURL正規化を行うのが効果的です。
301リダイレクトによって正規URLへ自動転送させることで、以下のようなメリットが得られます。
ブラウザに表示されるURLが常に統一される
他サイトからリンクを受けた際も正規URLが使われやすくなる
被リンクの評価が分散しにくくなる
SEO評価の統一がより確実に行われる
「.htaccess」の設定例
先ほど、「.htaccess」を使用した方が良い例をいくつか紹介してきましたが、それぞれどのように設定すれば良いのか、順番に説明していきます。
①wwwの有無を統一する設定例
your-domain
部分にはご自身のドメイン名を記述してください。
【wwwありに統一する場合】
Options +FollowSymLinks
RewriteEngine on
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^your-domain\.com$
RewriteRule ^(.*)$ https://www.your-domain.com/$1 [R=301,L]
②index.htmlの有無を統一する設定例
【index.html なしに統一する場合】
補足:
これらの設定はApacheのサーバーで動作する .htaccess
ファイルに記述します。
モバイル(スマホ)サイトにおけるURL正規化(canonicalも使用)
Googleはモバイルフレンドリーの対応状況を検索評価に組み込んでおり、現在は基本的にレスポンシブデザインが推奨されています。
レスポンシブデザインであれば、PC・スマートフォンともに同じURL・同じHTMLソースを利用し、CSS等で画面幅に応じたレイアウト変更を行います。これにより、Googleのクロールリソースを無駄に消費せずに済むというメリットもあります。
URLが別の場合はアノテーションが必要
一方、PCサイトとモバイルサイトを別URLで運用しているケースも一部では存在します。
このような場合には、Googleに正しいページの対応関係を伝えるため、alternate属性とcanonicalタグを利用したアノテーション設定が必要です。
記述例
各ページのURL例
PCサイト:
https://www.gyro-n.com/sample/xxxx.html
モバイルサイト:
https://m.gyro-n.com/sample/xxxx.html
PCサイト側の記述
※max-width
の値は、モバイルサイトを表示させたい画面幅の上限を指定します。
モバイルサイト側の記述
ポイント
PC側は「このURLにはモバイル版もあります」と
alternate
で通知モバイル側は「このページの正規URLはPC版のURLです」と
canonical
で通知これによりGoogleはページ同士の対応関係を正しく理解し、重複コンテンツ扱いを避けることができます。
canonicalタグが正しく機能しているかチェックする方法
canonicalタグによる正規化が正しく機能しているかは必ず確認しておく必要があります。
もし正規化の設定ミスや記述エラーがあると、SEO評価に大きな悪影響を与えてしまう可能性があります。
Google Search Consoleを使って正規化を確認する
Google Search Consoleの「URL検査ツール」を活用すれば、各ページのcanonical設定状況を確認することができます。
Google Search Consoleにログイン
調査したいページのURLを入力して検査を実行
検査結果の「インデックス登録」セクションを確認
この画面で以下の情報が確認できます:
ユーザーが指定した正規URL
(=実際にcanonicalタグに記述したURL)Googleが選択した正規URL
(=Google側が最終的に正規化対象と判断してインデックスしているURL)
チェックポイント
両者が一致していれば、正しく正規化が機能している状態です。
不一致があった場合は、canonicalタグの記述内容や他のSEO要素を再度確認しましょう。
canonicalタグの効果的な使い方 〜活用すべきシーン〜
canonicalタグは、すべてのページに一律で必要というわけではありません。特に重複や類似コンテンツが生じやすい場面での活用が重要です。
以下に代表的な活用シーンを紹介します。
① ABテスト(スプリットテスト)を実施している場合
ABテストでは、同一ページ内容の中で見出し・キャッチコピー・画像・一部レイアウトなどを変更した複数のテスト用ページを作成するケースが一般的です。
しかし検索エンジンは、こうしたテストページも通常のページとしてインデックスしようとします。
そのまま放置すると重複コンテンツとして評価が分散する恐れがあるため、オリジナルページのURLに対してcanonical指定を行い、評価を一本化しておくことが重要です。
※テストページ自体をnoindex指定してインデックス対象外にする方法も有効ですが、検索評価を受けたい場合はcanonicalの方が適切です。
② 広告用ランディングページ(LP)を作成している場合
本来のWebサイトとは別に、広告用の**専用LP(ランディングページ)**を制作するケースも多くあります。
LPの内容が本サイトと非常に類似している場合、これも検索エンジンに重複コンテンツと判定される可能性があります。
この場合も、canonicalタグで本サイト側のURLを指定して正規化しておくことで、重複評価を回避しつつSEO評価を一本化できます。
特に、LPにも外部リンクが付く可能性がある場合はnoindexではなくcanonicalの活用が有効です。
③ ECサイトなど類似商品ページが存在する場合
ECサイトでは、同一商品のカラーバリエーション・サイズ違い・モデル違いなどで別々のURLが生成されるケースが多く見られます。
例えば:
商品A(青)
商品A(ピンク)
商品A(グレー)
といった形で、ページ内の写真やカラー表示は異なるものの、説明文やスペックはほぼ共通しているケースです。
このような場合も、個別ページごとにインデックスさせるのではなく、代表となる1つのURLにcanonical指定を行い正規化することが推奨されます。
これにより評価の分散や重複判定を防ぐことができます。
まとめ
SEO内部対策では、検索エンジンに対して以下の3つを適切に実現することが重要です。
Webサイトを効率的にクロールしてもらう
正しくインデックス登録させる
コンテンツの価値を適切に評価してもらう
この中で、canonicalタグによるURL正規化は特に重要な役割を担います。
正規化を適切に行うことで、重複コンテンツが発生するリスクを抑え、検索エンジンによる評価の分散やマイナス評価を防ぐことができます。
canonicalタグはSEO内部対策の基本施策のひとつとして、確実に実装・運用していくことが大切です。