ホテル・旅館のMEO対策とは、「温泉旅館 地名」「駅近 ホテル」などで検索した人に、Googleマップや Googleのホテル検索で自館を見つけてもらい、予約サイトを経由しない直接予約にもつなげる取り組みです。宿泊施設のビジネスプロフィールは、ほかの業種と仕組みがかなり違います。営業時間は編集できず、星の数はGoogleが決め、特典やセールの投稿はできません。この記事では、Googleビジネスプロフィール ヘルプの宿泊施設向けの説明と、旅館業法などの決まりをもとに、宿ならではの運用を整理します。
宿泊施設のプロフィールは、ほかの業種と何が違うか

宿泊施設を探す人は、マップで場所を見ると同時に、日付を入れて空室と料金を比べます。そのため、宿泊施設のプロフィールには、ほかの業種にはない料金と予約の欄があり、編集できる項目とできない項目がはっきり分かれています。
| 項目 | オーナーが編集できるか | 運用のポイント |
|---|---|---|
| 営業時間 | できない(24時間営業とみなされる) | チェックイン・アウトや フロントの時間は説明文や属性で伝える |
| クラス評価(星の数) | できない(Googleが評価) | 誤りがあればサポートへ連絡する |
| ホテルの属性(設備・サービス) | できる | 駐車場・Wi-Fi・ペット可などを正確に入れる |
| おすすめポイントのアイコン | 表示は保証されない | 属性を正確に入れておくことが前提 |
| 料金と予約リンク | プロフィールの編集欄ではない | Google ホテル広告と無料の予約リンクから表示される |
出典: Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ホテルの詳細を管理する」。
営業時間を入れられないことの意味
飲食店や小売店では営業時間がもっとも大切な項目ですが、Googleに掲載するビジネス情報のガイドラインでは、ホテルなどの屋内宿泊施設は営業時間を指定する対象から外れています。そのため、チェックインの開始時刻や門限、日帰り入浴の受付時間など、時間に関する情報は説明文や属性、ウェブサイトで伝えることになります。
館内のレストランやバーは別のプロフィール
同じガイドラインには、ホテル内のレストラン、カフェ、バーは、ホテルとは別のプロフィールにすると書かれています。宿泊客以外も利用できる食事処や日帰り温泉を営業している場合は、それぞれの名前と営業時間でプロフィールを作ると、食事目的の検索にも表示される入口が増えます。
ホテルの詳細と属性を正確にする
宿泊施設のプロフィールで、オーナーがもっとも手を入れられるのが「ホテルの属性」です。予約を決める人が比べる条件は、ここに集まっています。
比較で見られる属性から確認する
ヘルプによると、オーナー確認を済ませたオーナーは「ホテルの属性」からサービスや設備の情報を編集でき、「ペット同伴可」「無料 Wi-Fi」「無料駐車場」などはプレイスシートにアイコンで表示されることがあります。駐車場の有無と料金、朝食の有無、大浴場や客室風呂、送迎、バリアフリーの対応など、検索した人が絞り込みに使う条件から順に確認します。
一括更新では変わらないことがある
同じヘルプには、スプレッドシートのアップロードではホテルの属性を更新できず、APIまたはダッシュボードを使う必要があるという既知の問題が書かれています。複数の施設を一括で管理している場合は、属性だけは個別に画面で確かめます。
星の数が違うときの対応
クラス評価はGoogleが評価して表示するもので、オーナーが直接変える項目ではありません。明らかに実態と違う場合は、ヘルプの案内に沿ってサポートに問い合わせます。説明文に独自の「〇つ星」を書いて補うことは、評価の根拠を示せない限り避けます。
海外からの宿泊客に向けた情報
訪日客の多い宿では、属性で示される設備に加えて、説明文で食事の内容(菜食への対応の可否など)、浴場の利用方法、タトゥーの扱いといった、到着前に知りたい決まりを伝えておくと問い合わせが減ります。プロフィールの多言語での見え方と設定は多言語対応で訪日客を集客する方法で説明しています。
旅館業法と住宅宿泊事業法|施設の種類を正しく示す
宿泊施設の情報を書くときは、どの許可や届出で営業しているかを正しく理解しておく必要があります。施設の種類によって、守る決まりも、お客様への伝え方も変わります。
旅館業の許可の種類
旅館業法第2条は、旅館業を旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業に分け、第3条で営業には都道府県知事など(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)の許可が必要としています。カプセルホテルやゲストハウスのように相部屋の構造が中心の施設は簡易宿所にあたることが多く、設備やサービスの説明も、個室中心のホテルとは違う書き方になります。
住宅宿泊事業(民泊)は日数の上限と標識がある
住宅宿泊事業法第2条第3項は、住宅宿泊事業を、人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないものと定めています。第13条は、届出住宅ごとに公衆の見やすい場所へ標識を掲げることを求めています。民泊として営業している施設は、通年営業のホテルと誤解される書き方をせず、受け入れ可能な期間を明確にします。
「お断り」の書き方と宿泊拒否の決まり
旅館業法第5条は、宿泊を拒めるのは特定感染症の患者等である場合、違法行為や風紀を乱すおそれがある場合、負担が過重な要求を繰り返した場合、施設に余裕がない場合などに限ると定めています。説明文や口コミの返信で「〇〇の方はお断りしています」と書く場合は、その理由がこの決まりに沿っているかを確かめます。ペットの同伴や喫煙など、施設のルールとして伝える内容は、拒否ではなく「受け入れ条件」として書くと誤解を招きません。
投稿でできること・できないこと

宿泊施設は投稿の使い方にも、ほかの業種にはない制限があります。
特典・セール・割引の投稿はできない
Googleビジネスプロフィール ヘルプの「ビジネス プロフィールの写真、動画、投稿に関するコンテンツ ポリシー」によると、ホテルはローカル投稿を作成できますが、「特典」の投稿は作れず、特価セール、プロモーション、スペシャルオファー、割引に触れる投稿や、それらへのリンクを含む投稿もできません。理由として、プレイスシートで通常の料金と広告の料金を比べる人が混乱しないようにするためと説明されています。「直前割」「連泊で〇%オフ」のような告知は、自館のウェブサイトやメールで行います。
投稿に向く宿の題材
- 季節の景色や周辺の見どころ(紅葉、雪景色、祭りの日程)
- 館内の改装や新しい客室の完成
- 夕食の献立の入れ替え(価格や割引に触れずに内容を紹介)
- 大浴場の点検日や工事など、利用に影響するお知らせ
- 駅からの送迎の時刻や、冬道の運転の注意
投稿に関するほかの注意点は投稿機能の注意点で詳しく説明しています。未確認の電話番号やメールアドレスを本文に書いた投稿は削除されることがあるので、連絡先はプロフィールの電話番号に任せます。
写真は「部屋タイプ」と「共用部」で分ける
宿の写真は、予約する人が部屋のタイプを選ぶ材料になります。和室・洋室・露天風呂付きなど部屋タイプごとに、全体、寝具、窓からの眺め、浴室をそろえます。大浴場は人がいない時間に撮り、男女の入れ替えがある場合はどちらの浴場かが分かるようにします。
料金の見せ方と直接予約
宿泊料金は、Googleのホテル検索では予約サイトやホテル広告から表示されるため、自館のプロフィールで直接書き換えるものではありません。そのうえで、自館のウェブサイトや説明文で料金に触れるときの決まりを押さえます。
宿泊料金は税込みで示す
国税庁の「総額表示の義務付け」の説明によると、消費者に前もって価格を示す場合は消費税込みの価格を表示する必要があります。入湯税や、自治体によっては宿泊税がかかる場合は、宿泊料金とは別にかかることを料金の近くに書いておくと、チェックアウトのときの行き違いを防げます。
直接予約の入口をプロフィールに用意する
ヘルプでは、プロフィールに出る料金と予約リンクは Google ホテル広告と無料の予約リンクから取得されると説明されています。自館の予約ページを候補に表示させたい場合は、利用している予約システムが Googleとの連携に対応しているかを、予約システムの提供会社に確かめるのが近道です。あわせて、プロフィールのウェブサイト欄は自館の公式サイトにしておきます。
口コミへの返信で宿が気をつけること
宿泊の口コミは、部屋、食事、風呂、接客、周辺環境と、話題が多岐にわたります。返信は、次に泊まる人が読む前提で書きます。
宿泊した事実と個人の情報に触れない
旅館業法第6条により、宿は宿泊者名簿に氏名や住所などを記録しています。口コミの返信で「〇月〇日に〇号室にお泊まりの〇〇様」のように、名簿から分かる情報を書くことは避けます。本人の書いた内容への感謝と、宿としての対応を書く形にします。
設備の古さを指摘されたとき
築年数の長い旅館では、設備の古さを指摘されることがあります。返信では、言い訳を重ねるより、改装の予定があれば時期を、ない場合は清掃や手入れで気をつけていることを書きます。訪日客の口コミへの返信や多言語での対応は外国人客の口コミを増やす方法で扱っています。
宿の担当者が迷いやすい点
チェックインの時間はどこに書けばよいですか?
営業時間の欄は使えないので、説明文に書き、属性に関連する項目があればあわせて設定します。公式サイトの記載と時刻をそろえておきます。
宿泊プランのセールを投稿で告知できますか?
できません。ホテルは特典の投稿を作れず、セールや割引に触れる投稿も認められていません。セールは自館のサイトやメールで告知し、投稿は季節の情報やお知らせに使います。
日帰り入浴や食事処もプロフィールに載せられますか?
宿泊者以外も使える施設で、独立した名前と営業時間で営業しているなら、ホテルとは別のプロフィールを作ります。宿泊者専用の施設なら、ホテルのプロフィールの属性や写真で紹介します。
ゲストハウスでもホテルとして登録してよいですか?
実際の営業の形に合うカテゴリを選びます。相部屋が中心なら、そのことが分かるカテゴリや説明文にしておくと、到着してからの思い違いを防げます。
予約サイトの口コミとGoogleの口コミは同じものですか?
別々に書かれたものとして扱い、Googleの口コミにはGoogleのプロフィールから返信します。予約サイトでの口コミ対応と方針をそろえておくと、どちらを読んだ人にも同じ印象を持ってもらえます。
お客様の写真で部屋の印象が違って見えるときはどうしますか?
お客様が投稿した写真は消せないことが多いので、部屋タイプごとにオーナーの写真をそろえ、どの写真がどのタイプかを説明で分かるようにします。改装前の古い写真が多い場合は、改装後の写真を増やし、投稿で改装したことを伝えます。
制約の中で比べやすい宿にする手順
宿で進める場合は、はじめに営業の許可や届出の種類と、施設の実際の形を確かめ、カテゴリと説明文を合わせます。次に、ホテルの属性を絞り込みに使われる条件から順に入れ、館内のレストランや日帰り施設は必要に応じて別のプロフィールにします。投稿は特典やセールに触れずに季節の情報とお知らせに使い、写真は部屋タイプと共用部で分けてそろえます。料金は税込みと別途かかる税の区別を明確にし、口コミの返信では宿泊の事実や個人の情報に触れません。宿泊施設のプロフィールは仕組みの制約が多いぶん、決まりの中で正確に情報をそろえた宿が比べやすく、選ばれやすくなります。

