調剤薬局のMEO対策とは、「近くの薬局」「日曜 薬局 地名」「処方箋 夜 薬局」などで検索した人に、Googleマップで自社の薬局を見つけてもらい、来局につなげる取り組みです。薬局は医薬品医療機器等法(薬機法)で掲示や名称の決まりがあり、口コミへの返信には薬剤師の守秘義務も関わります。飲食店や美容室と同じ感覚で発信すると、法令やGoogleのポリシーに触れやすい業種です。この記事では、法令とGoogleの公式ヘルプをもとに、薬局ならではの設定と発信を順に整理します。
薬局を探す人が、マップで確かめていること

薬局を探す人の多くは、処方箋を手に持って「今から行って受け付けてもらえるか」を確かめています。営業時間、場所、待ち時間の目安が、ほかの何よりも先に見られます。
検索は「時間」と「状況」の言葉が多い
薬局の検索は「今開いている」「日曜」「夜」「祝日」のように時間を含む言葉や、「〇〇病院 近く 薬局」のように受診した医療機関を起点にした言葉が中心です。休日当番や夜間の対応をしている薬局ほど、営業時間の正確さが来局を左右します。
門前と面の薬局で、見られ方が違う
特定の医療機関の近くにある薬局は、その医療機関の名前とあわせて探されます。一方、住宅地や商業施設の薬局は、どの医療機関の処方箋でも受け付けることや、駐車場、在宅対応の有無で選ばれます。自社がどちらの来局が多いかで、説明文で先に書く内容を変えます。
薬機法で決まっている掲示と名称
薬局には、店舗の中や外に掲げなければならない情報と、認定を受けなければ使えない名称があります。Googleのプロフィールは店舗の外の掲示を補う役目もあるので、内容を一致させておくことが大切です。
| 決まり | 根拠 | プロフィールでの扱い |
|---|---|---|
| 薬局の利用に必要な情報の掲示 | 薬機法第9条の5、施行規則第15条の15 | 掲示板の内容(営業時間など)とプロフィールの記載をそろえる |
| 薬剤師が不在の時間の掲示 | 施行規則第15条の16(薬局の中と外の見やすい場所) | 調剤できない時間帯を営業時間の説明や投稿でも伝える |
| 地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の名称 | 薬機法第6条の2・第6条の3。認定を受けていない薬局は紛らわしい名称も使えない | 認定を受けている場合だけ説明文に書く。認定は1年ごとの更新 |
| 健康サポート薬局である旨の表示 | 施行規則(厚生労働大臣が定める基準への適合が前提) | 基準を満たし届け出ている場合だけ書く |
出典: 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、同施行規則(e-Gov法令検索)。
認定薬局の名称は、更新が切れたら外す
薬機法第6条の2第3項は、地域連携薬局でない薬局が「地域連携薬局」やそれに紛らわしい名称を使うことを禁じています。認定は1年ごとに更新が必要(同条第4項)なので、説明文や投稿に書いた場合は、更新の時期にプロフィールの記載も見直します。認定を受けた薬局は、施行規則第15条の16の2により、その旨を薬局の中と外の見やすい場所に掲示します。その掲示の写真を入口の写真と一緒に載せておくと、記載の裏付けになります。
医療情報ネットとの食い違いをなくす
薬機法第8条の2は、薬局の選択に必要な情報を都道府県知事に報告し、変更があればすみやかに報告することを求めています。厚生労働省によると、この情報は2024年4月から全国統一の「医療情報ネット(ナビイ)」で検索できるようになりました。営業時間や対応できるサービスを変えたときは、ナビイへの報告とGoogleの更新を同じ日に行うと、患者さんが見る情報が食い違いません。
営業時間の設定|薬局でいちばん問われる項目
薬局のプロフィールで口コミの不満につながりやすいのは、写真や説明より営業時間の誤りです。設定の操作は営業時間設定の3種類で説明しているので、ここでは薬局で迷いやすい点に絞ります。
処方箋の受付終了時刻を書き添える
閉店時刻の直前に処方箋を持ち込まれても、調剤に時間がかかる薬は対応できないことがあります。営業時間は店を開けている時間で入れ、説明文に「処方箋の受付は閉店の〇分前まで」と書いておくと、閉店間際に来て断られる行き違いを減らせます。
祝日・連休は特別営業時間で前もって入れる
Googleビジネスプロフィール ヘルプの「ビジネス プロフィールを編集する」では、祝祭日など特定の期間に営業時間を変えるときは特別営業時間を設定するよう案内されています。近くの医療機関が休みの日は薬局も休むことが多いので、医療機関の休診予定が出た時点で薬局の特別営業時間も入れます。休日当番を受け持つ日は、逆に営業日として入れておくことが大切です。
薬剤師がいない時間がある場合
一般用医薬品の販売は続けていても、薬剤師が不在で調剤ができない時間帯がある薬局は、その時間を薬局の内外に掲示する決まりがあります。同じ内容を説明文に書き、ヘルプにある「詳しい営業時間」で調剤の受付時間を分けて設定できる場合は、それも使います。
店内併設・医療機関の隣にある薬局のプロフィール

薬局は、スーパーやドラッグストアの中にあったり、医療機関と同じ建物にあったりします。この場合のプロフィールの分け方は、Googleのガイドラインに決まりがあります。
スーパー・ドラッグストアの中の薬局は別プロフィール
Googleに掲載するビジネス情報のガイドラインには、スーパーマーケットの中の薬局のような併設事業は、同じ拠点のプロフィールに両方のカテゴリを付けるのではなく、別々のプロフィールにし、2つ目には別の名称を使うと書かれています。店舗全体のプロフィールに「薬局」のカテゴリを足すのではなく、「〇〇ストア 調剤薬局」のように実際に掲げている名称で、薬局のプロフィールを作ります。
医療機関とは名前もプロフィールも分ける
同じ建物にあっても、薬局と医療機関は別の事業者です。名前に医療機関名を入れて一体に見せることは、ガイドラインの名前のルールにも合いません。医療機関側のプロフィールの作り方はクリニック・歯科医院のMEO対策で扱っています。説明文で「〇〇クリニックから徒歩1分」のように位置関係を書くのは問題ありません。
投稿と写真で避けたい表現
薬局の投稿は、季節の健康情報やサービスの案内に使えますが、医薬品の広告の決まりとGoogleのポリシーの両方に気をつけます。
効能をうたう書き方をしない
薬機法第66条は、医薬品などの効能・効果について、明示か暗示かを問わず、虚偽や誇大な記事を広告することを禁じ、医師などが保証したと誤解されるおそれのある記事も同じ扱いとしています。店頭で扱う一般用医薬品やサプリメントを投稿で紹介するときは、「飲めば治る」「薬剤師おすすめで必ず効く」のような書き方をしません。紹介するなら「花粉の季節の薬の選び方を相談できます」のように、相談の案内にとどめます。
Googleのポリシーでの医薬品の扱い
Googleビジネスプロフィール ヘルプの「禁止または制限されているコンテンツ」では、規制されている医薬品は制限対象の商品とされ、それらを購入できるページへのリンクや、セール・クーポン・価格を含む宣伝は認められていません。医薬品の値引きを投稿で告知するのは避け、投稿は営業時間の変更、在宅訪問の案内、健康イベントの告知などに使います。健康に関する誤った情報や誤解を招く情報も禁止されています。
薬局の投稿に向く題材
- 連休前の営業日と、近くの医療機関の休診日のお知らせ
- 休日当番や夜間対応の日程
- 在宅訪問や服薬の相談ができる曜日・時間
- お薬手帳やマイナンバーカードの持参のお願いなど、来局時の準備
- 駐車場の工事や入口の変更など、来局経路の変更
どれも患者さんが来局前に知っておきたい実務の情報で、効能の宣伝にならずに続けられる題材です。
写真は患者さんが写らない時間に撮る
待合や投薬カウンターの写真は、開局前など患者さんがいない時間に撮ります。お薬手帳や薬袋、調剤棚の薬のラベルに患者さんの名前が見える状態で撮らないよう注意します。相談スペースの仕切りや車椅子で入れる入口など、来局の不安を減らす設備の写真が役に立ちます。
口コミの返信と守秘義務
薬局の口コミ返信は、ほかの業種と比べて書けることが限られます。理由は薬剤師の守秘義務です。
「来局したこと」自体を返信で認めない
刑法第134条は、薬剤師などが正当な理由なく業務上知った人の秘密を漏らすことを罰すると定めています。口コミへの返信で「〇月〇日に〇〇のお薬をお渡しした際は」のように、その人が来局したことや処方の内容に触れると、本人が書いた内容でも返信側が情報を広げることになります。返信は、個別の事実には触れず、薬局としての方針と改善を書く形にします。
待ち時間の不満への返し方
薬局の低評価で多いのは待ち時間です。返信では「処方内容の確認や医療機関への問い合わせでお時間をいただく場合があります」と一般的な理由を説明し、混雑しやすい時間帯や、処方箋を事前に送れる仕組みがあればその案内を添えます。低評価への返信の基本は低評価・ネガティブな口コミへの返信方法で例文つきで説明しています。
薬局の現場から出やすい疑問
処方箋の事前送信を受けていることを書いてもよいですか?
実際に受けているなら、説明文やサービス欄に書けます。送り方と、紙の処方箋の場合に受け取りの際に原本が必要かどうかなど、来局時に何を持ってくればよいかを、患者さんが誤解しない言葉で書きます。
在宅訪問の範囲はサービス提供地域で設定できますか?
店舗に患者さんが来る薬局は住所を表示したまま、サービス提供地域を追加できます。訪問できる市区町村だけを指定し、説明文には対応の条件(医師の指示があることなど)を書き添えます。
口コミで薬の副作用について質問されたらどうしますか?
口コミの返信で個別の服薬について答えることは避け、「お薬のことは薬局までお電話ください」と連絡先へ案内します。公開の場で答えると、ほかの人が自分にも当てはまると受け取るおそれもあります。
「かかりつけ薬局」と書いてもよいですか?
「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」は認定が必要な名称ですが、「かかりつけ」は一般的な言葉として使われています。ただし、認定薬局と誤解される並べ方をしないよう、認定を受けていない場合は認定薬局の名称と並べて書かないようにします。
系列の複数店舗を1つのアカウントで管理できますか?
できますが、営業時間や薬剤師の在籍時間は店舗ごとに違うので、全店一括で変更すると誤りが出やすくなります。特別営業時間は店舗ごとに確認してから入れます。
掲示・報告・Googleの3つをそろえる
作業の起点は、薬局内外の掲示、医療情報ネットへの報告、Googleの記載の3つを並べて、営業時間・薬剤師不在時間・対応サービスが一致しているかを確かめます。次に、店内併設や医療機関と同じ建物の場合は、プロフィールの分け方と名前をガイドラインに合わせます。認定薬局や健康サポート薬局の記載は、要件と更新の状態を確かめてから書きます。投稿は医薬品の宣伝ではなく営業や相談の案内に使い、口コミの返信は守秘義務をふまえて個別の事実に触れない形で続けます。薬局の発信で大切なのは、目立つことより、患者さんが受け取る情報が正しいことです。

